セクハラは法律でどう定義されているのですか?
セクシュアル・ハラスメント(Sexual harassment、以下、セクハラ)について日本で法的に規定されているのは「男女雇用機会均等法」です。
一般的なのは、「性的嫌がらせ」を意味します。最も広い意味では、例えば強姦(刑法177条)、強制猥褻(同176条)という刑事犯罪にあたる行為から、民事上の不法行為にあたると判断されない単なるマナー違反まで含むこともあります。米連邦メリット・システム保護局という機関行った、1980年代のセクハラはどのような内容であるかを調べてみた。その結果は、次の七つに分類された。
セクハラは、どのような影響を女性に与えるのだろうか。これに対する回答は、連邦メリット・システム保護局(MSPB)が行った1980年調査に見ることができる。
アメリカにおいて、セクシャル・ハラスメントに対する訴訟は、1970年代前半から始まった。ここでは、当時、原告側が敗訴した一連の裁判の判例を紹介するとともに、その後の訴訟審でこれらがどのようにして覆えされていったかを述べる。
それは、セクハラが男女間のありふれた現象でなく、職場における女性の権利を侵害し、女性を排除する結果を生んでいることを裁判所に認識されていく過程を検討することである。
初期の判決を検討する意味
1964年公民憲法第七編(タイトル・セブン)を根拠にセクシャル・ハラスメントを性差別として訴えた裁判は1970年代前半から始まった。しかし、連保地裁レベルにおけるこれらの裁判の大半き、原告側の女性の敗訴に終わっている。後述するように、その多くは、高裁、最高裁において逆転判決を勝ち取った。
1986年、連邦裁判所は、セクハラに関して初の判断を示した。
この章では、このビンソン裁判の第一審、控訴審の判決にさかのぼり、司法判断の変還の跡をたどる。さらに、最高裁の判決内容とその意義を検討する。
最高裁は1986年、ピンソン裁判で、セクハラに関して初めての判決を出した。しかし、これでセクハラ問題に関して、すべての法律上の議論が解決したわけではない。雇用平等委員会(EEOC)は、ピンソン裁判を含めた80年代のセクハラに関する裁判所の判断に基づき、90年3月、ガイダンスをアップデート化する意味合いをもっている。
また、裁判所も、さまざまなセクハラの問題に対して、法律上の解釈を提示していった。ここでは90年代にセクハラに関して争われた主要な裁判の判決について検討したい。
経営者はEEOCのガイドラインや州の法律、裁判所の凡例などを通じて、セクハラを防止するための対策を立てることを求められている。
ここでは、防止対策の設立と実施が被害を受けやすい女性従業員にとってだけでなく、企業にとってもどのようなメリットをもつのか、具体的に企業が取るべき手段、システムについて、苦情処理手続きや社内研修、加害者への処分などの問題を含めて説明する。
セクハラの被害を受けた人々が救済を求めるシステムは、職場内におけるものと、職場外のものに大別できる。職場内のものとは、いわゆる苦情処理システムで、さまざまな問題を解決するために、経営者が設けたものだ。
職場外のシステムは、大別すると三つある。第一が連邦政府の雇用平等委員会(EEOC)、第二が州政府や自治体の公正雇用委員会(FEP)、第三が裁判所だ。これらのシステムの概要と運営方法、救済措置などについて、EEOCを中心に検討していきたい。
EEOCのガイドラインの重要性
「性に基づく嫌がらせは、1964年公民権法第七編(タイトル・セブン)七〇三条に違反する」という書き出しで始まる雇用平等委員会(EEOC)のセクシャル・ハラスメント(以下セクハラ)に関するガイドラインは、1980年11月10日に公布された。この書き出しが示唆しているように、このガイドラインはタイトル・セブンを補足する意味を持っている。
もちろん、厳密にいえば、このガイドラインは法律ではない。政府の一機関による指針にすぎない。だが、セクハラはEEOCのガイドラインに沿って判断を示している。
米国三菱自動車製造(以後、米国三菱)が連邦雇用平等委員会(EEOC)から訴えられていた事件は、98年6月11日、三千四百万ドルの補償金を支払ことで両社が和解に至った。
この事件は、イリノイ州に進出した米国三菱の自動車工場でセクハラが蔓延していた、というEEOCの訴えに基づくものだ。
1980年4月11日、雇用平等委員会はセクシャル・ハラスメントに関するガイドラインの草案を発表するとともに、一般からの意見を求めた。これに対して162通のコメントがEEOCに寄せられ、これらを検討したうえでEEOCは、同年11月10日に最終的なガイドランを発表した。その全文を邦訳を掲載する。
わが社は、セクシュアル・ハラスメントのない、男女が共に快く、生産的に働ける職場環境を提供することを確約する。セクシュアル・ハラスメント(以降、セクハラ)は、違法行為であり、許容することはできない。
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